陰翳礼賛  ♯55 2008.9.1

 いよいよ9月です。今、家のベランダでこれを書いていますが、蝉の声がうるさいほど。蝉君たちも最後の力を振り絞って鳴いているんでしょう。もうあとわずかで聞けなくなる蝉時雨ですから、私もそれを楽しみながら書きたいと思います。集中できなさそうではありますが(笑)
 先日クリスタルのワークショップの時に、いつもいらしてくださる参加者の方がシェアしてくれたことで、そうだなぁと講師の恭子ちゃんともども感じたことがありました。その方は将来の仕事について新しいことを始めるかどうかを考えていたのですが、一生懸命意識を集中させていたのだと思います。結果、意識が将来のことばかりに行ってしまい「今この時を生きる」ということが疎かになっていることがわかり、ちゃんと今ここに意識を向けることの大切さを感じたそうです。
 真剣に願えば叶う、明確に具体的にイメージすれば実現するといような、いわゆる「引き寄せの法則というのも、ある意味もう古いよね、やっと一般の人に知られてきたという感じで。」と恭子ちゃんが言った言葉は印象的でした。それは確かに存在するのでしょうし、私も体験したこともなくはありません。暗くて元気がないより、できる範囲で明るく楽しい気持ちに切り替える方が幸せも引き寄せられるとは思いますが、無理はしなくていいと思うのです。もっと身の丈にあった範囲でやれることをやるくらいがちょうどいいと思います。「ザ・シークレット」などをはじめとして、たくさんのこの手の本も出ていますが、私は正直今は違和感を感じます。なんだか西洋っぽいな、と思うのです。狩猟民族っぽいというか能動的というか、貪欲だなぁと。それって本当に必要なの?ほんとうに心から望んでいるの?もし本当にそうならとっくに実現してるでしょう、そう思うのです。谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」などを読み返しているからなおさらそう感じるのかもしれません。
 もっと力を抜いて、自分らしく、自分の運命や環境、才能に至るまで受容的であったなら、きっともっと私たちは楽になれるはず。私が歳をとったせいもあるでしょうが、もっと東洋的、日本的な生き方の素晴らしさをこれからは提案していきたいと感じています。

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